銀行融資の審査に通るために 〜はじめに〜
銀行融資の申込みをすると審査があります。スムーズに審査に通過する方法をまとめました。
融資の申込みに必要な書類
ほとんどが既にある書類を揃えるだけですが、重要なのは◎の書類です。
【必要なもの】
・借入申込書
・企業概要書
・定款の写し(初回取引の場合)
・法人の履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
・法人の印鑑証明書(個人の場合は個人の印鑑証明書)→契約時に必要
・納税証明書
◎決算書(2〜3期分)
◎試算表(直近決算から6か月以上経っている場合)
※他に求められる書類があるケースもあります
【できれば用意すべきもの】
◎事業計画書
・使途を説明する資料(見積書など)
・会社案内
事業計画書は必須書類ではありませんが、これを上手に作ることにより、融資を受けられやすくするのです。詳細は、下記「6つのポイント」をご覧ください。
銀行融資の審査基準
6つのポイントがありますが、その前の大前提として、≪債務者格付・財務内容≫があります。債務者格付が一定以上であり、財務内容(肝心なのはBSとPL)が健全であるということです。これについて、詳細は追って紹介します。
銀行融資審査の6つのポイント
以下の6つを抑えて事業計画書を作成することで、スムーズに融資の審査が行われ、銀行の取扱判断のスピードが速くなります。
1.必要資金
例えば、必要な設備を導入するのに不足分を融資してもらう、ということです。そのため、次の「資金使途」が重要であり、その根拠を事業計画で明らかにします。
「融資してくれるだけ融資して欲しい」は、通りません。
なお、必要資金が運転資金の場合、おおよその借入限度額を算出することができます。算出に必要な数字は、有利子負債合計と平均月商です。
有利子負債は、短期借入金と長期借入金、社債の合計額です。これらの数字はBSの右側に記載されています。…@
平均月商についてです。PL記載の売上高は年商のことなので、平均月商は売上高を12で割った数字となります。…A
この、@とAの数字で、次の計算をしてみてください。
有利子負債@÷平均月商A
これで出てきた数字が、借入残高が平均月商の何か月分かという数字となります(借入月商倍率といいます)。一般的に銀行が貸せる金額は3か月分が目安です。6か月を超えると新規融資はかなり厳しくなります(その企業の状況や社会状況等により変わりますので、あくまで一般論です)。例えば既に月商の1か月分の借入があるとすると、新規で借りられるのは2か月分ということになります。
2.資金使途
「設備資金」と「運転資金」に分けられます。設備資金はその見積書やカタログ等設備の価格が分かる資料を提示します。運転資金も算出根拠が必要です。人件費であれば何か月分が必要かの資料(給与明細等)、外注費であればどこにいくら払うか(見積書、契約書等)の提示が必要です。以前は、資金使途を「運転資金」とすれば融資を受けられることもありましたが、現在は受けられません。
3.返済財源
融資を返済するための財源です。短期融資の場合は、売上入金額(売上高ではありません。実際に入金される金額です)、長期融資の場合は、キャッシュフロー【経常利益−法人税等+減価償却費;詳細は後述】で、どちらも返済金額より上回っている必要があります。事業計画書における「損益計画」でキャッシュフローが確保され、「資金繰り予定表」で借入金が返済できていなければ、銀行は、返済見込みがないとして、融資は危険と判断します。
この「返済財源」の根拠を示すために、上手な事業計画書を作成することが重要なのです。
4.保全
「担保」や「保証」のことです。具体的には、連帯保証人や土地・建物への抵当権の設定です。中小企業融資では、経営者保証(社長保証)は、実質必須です。ちなみに、信用保証協会による保証も「保全」の一つです。
5.返済期間
一般的に運転資金は3年〜7年以内、設備資金の場合は機械や土地・建物などによって異なりますが、目安としては5〜15年以内です。
BSとPLの数字から、現在の銀行からの借入金が全額返済できるまで何年かかるか、算出することができます。この数字を債務償還年数といいます。
詳細は、●銀行の見る財務指標 A債務償還年数が15年以内かをご覧ください。
6.金利
金利は、返済期間が短いと低くなり、返済期間が長いと高くなります。利息負担を重視して返済期間を短くするよりも、月々の返済額を少なくして返済期間を長くとり、資金繰りを楽にする方が経営も安定しやすくなります。