どうする資金調達?〜融資の方法〜
※以下、「銀行」という場合、信用金庫や信用組合などの金融機関も含まれます
中小事業者のための資金調達の主な方法を銀行融資中心に紹介します。銀行融資以外にも資金調達方法は様々あります(少人数私募債、リース、保険契約者貸付制度など)が、メインになるのはやはり銀行融資です。
銀行融資
一般的に中小事業者の資金調達は、銀行融資です。高知県なら、四国銀行、高知銀行、高知信用金庫などです。ふつう、お金を借りるには、担保などが必要と思われるでしょう。しかし、中小零細事業者などは担保力や信用力が小さいことが多く、そうした事業者を救済するために公的機関である信用保証協会が保証することで銀行からの融資を受けられやすくしているのです。
信用保証協会の利用には、業種や規模の制限があります。例えば、製造業なら資本金3億円以下で従業員数300名以下、小売・飲食業・サービス業なら資本金5千万円以下で従業員数50名以下(サービス業は100名以下)です。また、農林漁業や学校法人等は対象外となっています。詳しくはこちらへ
通常は、金融機関に融資の申込みをすると、金融機関が信用保証協会の利用に必要な手続きを行ってくれます。ただし、保証協会の審査に通る必要があり、銀行の利子の他、信用保証協会に信用保証料を支払う必要があります。無担保での融資額は最大8千万円です。有担保の普通保証は、別途最大2億円です。
日本政策金融公庫
銀行融資と並んで利用できるのが、日本政策金融公庫です。政府系金融機関であり、中小事業者などの資金調達を支援することが目的のひとつのため、創業者や小規模事業者が利用しやすい金融機関です。金利も低く固定金利というメリットもあります。年商5億円以下の企業や創業者の場合は日本政策金融公庫の「国民生活事業」が窓口となります。
様々な融資の制度がありますが、その中で、商工会議所や商工会などの経営指導を受けていると、無担保無保証人で借りられる制度もあります。また、概ね年商5億円以上の企業は「中小企業事業」が窓口となります。
借入対象業種は、概ね信用保証協会と同様ですが公表していないので、個別には日本政策金融公庫に直接相談する必要があります。日本政策金融公庫の支店(高知県なら、高知支店)に申込書を持参・郵送・ネットで申込みます。
自治体の制度融資
都道府県や市区町村の各自治体が金融機関及び信用保証協会と連携して行う融資制度です。自治体が融資原資の一部を預け入れ、また信用保証協会の保証を付けることにより中小企業が融資を受けられやすくしており、自治体が利息補助や保証協会の保証料補助などしてサポートしてくれます。利子の一部または全部負担、保証料の一部または全部負担など、具体的な要件は自治体により様々です。
創業者の資金調達は
上記3つのうち、創業者が実質的に利用できるのは、日本政策金融公庫と自治体の制度融資でしょう。
日本政策金融公庫の創業関連融資で無担保・無保証人で利用できるのが「新創業融資制度」です。主な要件は、新規開始もしくは、事業開始後税務申告を2期終えていない、融資限度額3千万円以内、自ら用意する自己資金は創業資金総額の1/10以上です。この中で特に重要なのが自己資金です。制度上は1/10あれば申込めますが、希望通りの融資が受けられるとは限りません。自己資金は、多く用意するほど融資を受けられる可能性は大きくなります(創業費の半分から1/3程度が理想)が、借りてきたお金やタンス預金を自己資金と主張しても、その根拠がないため認められない可能性が高いので注意が必要です。
次に自治体の制度融資ですが、自治体によって貸付限度額や返済期間、利率の条件が異なり、また毎年変わる可能性がありますので、都度、自治体に確認が必要です。
どの銀行と融資取引をするか
取引する銀行は1行だけではなく、複数行と取引すべきでしょう。リスクヘッジを取れるだけでなく、競争原理を利用して取引を有利に進めることもできるからです。また、取引銀行としても、「銀行は企業を支える」という側面があるため、その企業が複数の銀行と取引することで、自行以外からも支援が受けられるという安心感につながりますから、複数行との取引をすることが、付き合いのある1つだけの銀行に対して、“不義理になる”ことはありません。ただし、年商3億円を超えてきたら、その中からメインバンクは持つべきでしょう。
取引すべき銀行数は年商によって変わってきます。
年商3億円以下の場合、1〜3行で、日本政策金融公庫を始め、信用金庫や地方銀行の保証協会付融資が主となるでしょう。2回目以降の融資申込みは、初めての融資と異なる銀行も検討するべきでしょう。複数の銀行で融資シェアを同じようなボリュームにすることで、銀行間で金利や融資取扱期間で競争原理が働き、有利な条件で借りられるようになってきます。
取引銀行の増やし方
融資取引をする銀行を増やすのにも方法があります。銀行は、信頼や信用をベースに融資をしますので、信頼や信用がない状態の中、飛び込みで融資を申込んでも難しいでしょう。
比較的簡単な方法は、知人の経営者などから紹介してもらうことです。ただし、紹介者の選択は重要です。信頼の高い紹介者が有効であり、評判の悪い経営者からの紹介は銀行の警戒感を高めてしまうかもしれません。
また、銀行側からアプローチしてもらう方法もあります。それは、預金口座を作るという方法なのですが、その際に窓口担当の行員に会社案内や商品案内、さらに決算書を渡すのです。そうした資料は営業担当に回され、それを見た営業マンはその企業に訪問してくる可能性は高くなります。口座開設でそうした資料を持参することは珍しいだけでなく、決算書まで用意するということ自体、数字の管理をしっかりしている企業という印象を与え、営業マンにとっても、目に留まりやすくなるからです。
営業マンが来なかった場合の次の手として、口座を積極的に使うことです。売上入金をする、手形取立口座にする、支払いの振込みをする、公共料金の引落口座にする、などです。銀行の営業マンは支店の預金口座の動きをチェックしており、口座の動きが活発な企業を営業先のひとつとするのです。
新規取引が始まってから
取引が始まってからは銀行との信頼関係を徐々に作っていきます。具体的には、受取手形のある企業であれば手形割引から始めます。受取手形のない企業の場合、手形貸付(主に返済期間1年未満の短期融資が可能)から始めます。