株式会社設立の流れ

※資本金1000万円未満で「発起設立」の場合の流れです。

 

@基本事項を決める

 

A印鑑を用意する

 

B定款を作成する

 

C定款の認証を受ける

 

D資本金を払い込む

 

E登記の申請をする

 

F登記完了時の手続き

 

 

それでは、詳しく見ていきましょう。

@基本事項を決める

ここで決めたことは、基本的に定款に記載することになります。

 

●会社名(商号)
同一の商号・商標やURLのドメインが使われていないか確認します。既に商標権として登録されている場合、使用できないと考えた方が良いでしょう。また、会社名には「株式会社」という文字を入れなければなりません。

 

●本店所在地
定款には、市町村までの記載でもOK。将来的に同一市町村内で移転の場合、便利です。

 

●発起人(株主)
一人会社なら、自分のみが発起人(株主:所有者)となります。家族や知人に出資してもらい、複数でも発起人になることができます。

 

●役員(経営者)
役員であり経営者である取締役を決めます。さらに、その中から代表権のある代表取締役を決めます。合同会社と異なり、法人は取締役に就任することは不可能です。一人会社なら、自分が代表取締役となります。取締役会も不要です。

 

※取締役は経営者であり、会社との契約関係では一般に「委任」となります。つまり、会社の経営業務を委任されているということです。いわゆる一般社員(従業員)は会社との契約関係は「雇用」となります。

 

●資本金
会社の元手です。信用や融資を考えると100万円は欲しいところです。設立費用+3か月分の運転資金を最低限としたいです。また、許認可が必要な業種では最低資本金が設定されていることもあるため、該当の監督官庁に確認します。

 

●設立日
法務局への登記申請日が設立日となります。

 

●事業の目的
わかりやすく記載します。株式会社は営利性が必要なので「ボランティア活動」など認められません。また、許認可が必要な業種の場合、「目的」への記載が必要なこともあるため、該当の監督官庁に確認します。そのため、将来的に予定している事業も盛り込んだ方がよいです。

 

●事業年度
つまり、決算日を決めることです。決算業務が必要になるため、本業の繁忙期を避けるべきでしょう。また、その2か月後に法人税を支払いますので、資金繰りに問題がない時期にしたいところです。

 

※お金の調達方法について
 事業を行ううえで、運転資金や設備投資などで、お金が必要になります。株式会社でのお金の調達方法は、大きく2つあります。1つは出資してもらうこと、つまり株式です。2つ目は、借入れることです。

 

 出資(株式)は、会社が返す必要がない資金であり、資本金となります。つまり、会社が倒産しても出資者に返す義務はありません。ただし、会社が儲かったら利益から配当する必要があります。
 借入れ(負債)は、利子を付けて返さなければなりません。金融機関から借入れたり、社債を発行したりします。

 

 一人会社などを含め、小さな株式会社で出資を募るのは難しいものです。そのため、金融機関から借り入れることが多いです。しかし、創業間もない場合など、担保力や信用力が小さい場合は、公的機関である信用保証協会や政府系金融機関である日本政策金融公庫を利用することが一般的です。【詳細はこちら】

A印鑑を用意する

発起人全員分の実印と会社の実印を用意します。

 

他に、必須ではありませんが、銀行印、角印、社名・住所・電話番号などの入ったゴム印は一緒に作っておくと便利です。

B定款を作成する

定款とは会社の組織や運営などの基本的なルールのことです。株式会社は、会社法により定款作成が義務付けられており、内容は大きく3つに分けることができます。

 

●【絶対的記載事項】 次の6つは、必ず記載します 
1. 商号
2. 目的
3. 本店の所在地
4. 資本金(設立に際して出資される財産の価額またはその最低額)
5. 発起人となる人の氏名と住所
6. 発行可能株式総数(登記時までには必要)

 

※発行可能株式総数とは

 株主総会の決議なしで発行できる株式の数で、発行済み株式の10倍程度が一般的です。設立時の資本金を株価で割った数が発行済み株式数です。

 

 株価設定の規定はないため、自由にできます。旧商法の設定のまま5万円とする会社も多いですが、持株数が分かりやすいため、1万円にしておく会社が増えています。

 

 例えば、設立時資本金が100万円、株価1万円と設定すると、発行時株式数は100となります。

 

●【相対的記載事項】 取決めをしたら記載する事項。以下が主なものです
・現物出資の内容
 金銭以外の形で会社設立に際して出資されるもののことです。

 

・財産引受の内容
 会社設立を条件として会社が第三者から財産を取得することです。

 

上記「現物出資」と「財産引受」の財産額が500万円を超えると検査役の選任が必要です。手続きが煩雑で費用も掛かるため、500万円未満に抑えましょう。

 

・発起人が受ける報酬その他の特別な利益
 会社設立のための発起人の労務報酬などです。

 

・株式会社の負担する設立費用
 定款認証手数料など客観的に明確な費用は除きます。

 

・株式の譲渡制限
 株主が他人に株式を譲渡する際、会社の許可を必要とするかどうかです。
 中小会社では、譲渡制限付きが一般的です。

 

・取締役の任期
 原則2年。再任可能ですが、その都度登記が必要になります。最長で10年にできます。

 

・株券の発行
 原則として株券は発行しません。

 

など。

 

●【任意的記載事項】 記載は自由な事項
※記載後の定款変更には株主総会の決議が必要なので、注意を要します。

 

・会社の事業年度、最初の事業年度
・取締役となる人の人数
・役員報酬の計算方法
・株主総会開催時のルール
・会社の経営理念など

 

C定款の認証を受ける

完成した定款は、公証人役場へ予約のうえ発起人全員で出向き、認証してもらいます。同行できない人がいる場合、委任状が必要です。

 

また、電子定款の場合は、公証人と定款の内容について事前の打ち合わせが必要で、最終的に認証された定款の受取りに公証役場に出向くことになります。

 

高知県が会社の本店所在地の場合、高知合同公証役場(高知市本町1-1-3)または中村公証役場(四万十市中村大橋通6-3-7)となります。

 

必要書類等
【紙の場合】
・定款(同じものを3通;公証人保管用、会社保存用、登記申請用)
・設立発起人全員の印鑑証明
・収入印紙4万円分
・認証手数料5万円
・実質的支配者となるべき者の申告書
・発起人全員分の実印
・委任状(同行できない発起人の分)

 

【電子の場合】
・USBメモリまたはCD-R
・定款(紙に印刷したもの)2通
・設立発起人全員の印鑑証明
・認証手数料約5万円
・身分証明書
・印鑑
・実質的支配者となるべき者の申告書
・委任状(同行できない発起人の分)

 

D資本金を払い込む

定款認証が終了次第、発起人の個人名義の口座(新規に作りたい)に各発起人が振込みます。各発起人名で出資額を振込めば、通帳にその旨記載されるので、登記時に必要になる「出資の払込証明書」を作成するのに便利です。

 

発起人が一人の場合も、自分の名前でその口座に振込みます。また、振込みは、認証日以降でなければなりません。ちなみに、会社名義の口座は会社設立(登記完了)後となります。

 

※払込み後、2週間以内に登記申請します。

E登記の申請をする

【必要書類】
・定款の謄本(認証時に返却されたもの1通)

 

・発起人の決定書
 定款で本店所在地の詳細を記載していない場合や、代表取締役名を記載していない場合

 

・取締役の就任承諾書
 設立時取締役、設立時監査役の全員分

 

・選定書
 取締役会設置会社が設立時代表取締役を選定する場合

 

・印鑑証明書
 設立時取締役全員の個人の印鑑証明書
 (取締役会設置会社は、設立時代表取締役分だけ)

 

・本人確認証明書
 運転免許証のコピーなど全員分

 

・出資の払込証明書
 払込証明書にDで振込まれた口座の通帳のコピーを綴じます。

コピーするのは、次の3か所

 T表紙
 U金融機関名・口座番号・名義等が記載の2ページ目
 V各発起人が振込んだことが分かるページ

 

・資本金の額の計上に関する証明書
 現金出資のみの場合は不要

 

・印鑑届出書
 会社の実印と届出人の実印

 

・登録免許税代金
 資本金の1000分の7。ただし、最低額は15万円

 

・登記申請書
 弊所にご依頼の場合、提携司法書士にて作成

 

※申請から3日後くらいに登記が完了しますが、念のため、申請時に登記完了予定日を確認しておくとよいです。

F登記完了時の手続き

登記完了したら、税務署や取引先への提出するための登記事項証明書と印鑑証明書を法務局で取得します。

 

●設立後に最低限行うこと
・税務署、都道府県税事務所、市町村(地方税)への必要書類提出
 特に、青色申告申請書の提出期限は、遅くとも設立日から3か月以内です。
・年金事務所への社会保険加入手続き(社長1人の法人でも基本的に必要)
・雇用する場合は、労働基準監督署での手続き