法人の設立について

 個人事業でスタートし、事業が軌道に乗ってくると、社会的信用や節税、資金調達などの面で法人化を検討することになってきます。そのタイミングの一つの目安としては、年間売上げが1000万円を超えた時でしょう。

 

 法人にも様々なタイプがあります。営利性の側面から分類すると、営利を追求する株式会社、合同会社、企業組合などと、非営利の一般社団法人やNPO法人などがあります。

 

 営利性とは、利益を出資者(設立者)に配当できるということです。ここでいう利益とは、「役員や従業員に払う給料を含めたあらゆる経費を売上から差し引いた残額分」のことです。例えば、株式会社が株主に配当することです。

 

 逆に非営利法人は配当ができないということなのですが、「役員や従業員などに払う給料を含めたあらゆる経費を売上から差し引いた残額分」を、法人の設立者に配当できないということで、商売などの収益事業ができないということではありません。また、ボランティアしかできないということでもありません。

 

 とはいえ、商売をするうえでは営利を追求する株式会社などを検討することが多いでしょう。そこで、株式会社設立の流れと、最近注目されている合同会社設立の流れを見ていきます。

合同会社という選択肢も考えてみよう

 株式会社は、所有者(出資者=株主)と経営者が分かれているのが特徴です。一方、合同会社は所有者(出資者)と経営者が同一です。しかし、一人会社のような小さな株式会社の場合、所有者も経営者も同一になっています。つまり、その面では合同会社と同じことになります。

 

 株式会社は、年1回の株主総会と決算公告が必要であり、また、役員の任期(最大10年)があるため、任期終了後に再任する場合でも登記の更新が必要になってきます。

 

 一方、合同会社は、株式会社と比べ設立費用が安いだけでなく、設立後の総会の義務もなく決算公告の義務もありません。役員の任期は無期限のため、役員の更新登記も不要です。

 

 1人で始める場合や、店舗名やブランドがあって社名は前面に出ない場合、個人客相手などで「株式会社」という名称に拘ってない場合は、選択肢として考えてみる価値はあるでしょう。また、のちに株式会社に組織変更することも可能です。